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夢の車〜「Une voiture de reve」 もうすぐ大学を卒業する春間近のとある日、その彼にはじめてドライブに誘われた。「車を見て驚かないでね」と彼は言った。彼は宮下公園の下の駐車場に車を止めていたらしく、私を一緒にそこまで連れていった。そこは高級車がずらっと並んでいるのでとっても有名だ。もしやフェラーリにでも乗っているのか? 薄暗い中、主人の帰りを待っていたのは、赤と黒の大胆なツートンカラーの、妙に車幅の狭い、目が飛び出たブリキみたいなちょっと変わった車だった。 でも不思議なことに、このCharleston、私は運転もしないのに乗るごとに愛着が出てきた。春の桜の咲く頃、リアシートをはずして西郷山公園までせっせと運んで、ピクニックをした。公園の管理人のおじさんに「変な椅子、運び込まないでください」と怒られたけれど。夏は冷房が効かないから暑くてたまらない。屋根と窓を全開にしても、アパートに帰る頃には汗びっしょり。その後のシャワーと冷たいウーロン茶は最高だった。秋は友達カップルを乗せて4人でデート。後ろのシートもふかふかで大人でもらくらく座れた。Charlestonも2馬力なのに大人4人乗せて一生懸命よく走ってくれた。冬は、コートとマフラーぐるぐる巻きのまま乗って走った。ベンチシートでぴったりくっついて座れるからちっとも寒くなかった。ほかにも窓の止め金が壊れたり、ミラーが取れたり、屋根が破けて雨が漏ったり、走っている途中に車のマフラーが外れたり、何かと手がかかったけど、それもなんだか妙に楽しくて、他に何もいらなかった。 そんな彼と私とCharlestonの素敵な日々も、季節がちょうどそれぞれ2回ずつ巡った。彼は突然紺色のベンツ300に乗り換えた。乗り心地とか安全性とか確かにいいかもしれないけど、でも何もかも計算しつくされている感じがして、味気ない。乗っていてうんともすんとも面白くない。同じ車も街中いっぱい走っているし。 しばらくして、Charlestonを含め2CVを生産中止にする、とシトロエンが発表した。今では街中で2CVを見かけることもめっきり少なくなった。Charlestonは本当に夢の車だったかもしれない。 CITROEN これぞフランスのエスプリ。 Mini Gallery パリのモンマルトルで撮ったものです。
Mini Live このエッセイ「夢の車」が、SiriusのYoshihikoさんにより、「彼と私とCharleston」という素敵な曲になりました。 Sirius LIVE! Sirius Home Page Sirius作品集 「彼と私とCharleston」...MP3、RM対応です。音切れ防止のため、ダウンロードしてからお楽しみください。 |
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2004/11/28
です。 |