|
美人は何処に?〜「Ou est une jeune beaute ?」 先日、とある街の薬局へシャンプーを買いに行った。いまはやりのマツキヨみたいなチェーンのドラッグストアとは違って、昔からあるようなこじんまりしたところだ。でも、かなり品揃えがよく店員さんも親切なので、私はひそかにひいきにしている。見ると今日はドアのところに「赤坂の母、手相占い本日特別千円!」と手書きで看板が出ている。なんだろうと思って店内を見ると、奥の漢方薬のカウンターに、歳は六十過ぎくらいだろうか、とっても良く年を重ねているといった感じの、ふちなしめがねをかけた初老の美しい女性占い師が、OLと思われる三十歳くらいの女性の手を見つめながら何やらアドバイスをしていた。彼がどうだこうだと聞こえる。もうひとり、どうみても彼氏がいない感じの同じく三十歳くらいのOLが一心不乱に文庫本を読みながら椅子に座って順番を待っていた。私は普段、手相や占いなどあまり信じないほうだが、このときばかりは初老の美しい女性占い師に惹かれたか、はたまた千円だからまあいいかと思ったか、自分でもよくわからないがいつのまにか文庫本の彼女のあとに並んでいた。私は読むものなど何も持っていなかったので、薬局にどんな人が来てどんな化粧品を買っていくかウォッチングしながら待つことにした。 「どうぞお次の方。」 彼女の言うことは不思議なくらいどれもずばり当たっていた。これからどうなるかについて言われたことはここでは詳しくは割愛させていただくが、努力して前向きに進めば必ずいいことがあるというようなことを言われた。ほんの十分程度の間、私は彼女の話と彼女の醸し出す雰囲気に思わず惹き込まれていた。 千円なのでここで時間切れかと思ったが、運良く私の後ろには誰も並んでいなかった。私はどうしても聞きたいことがあって、失礼かとは思ったが思いきって聞いてみた。 「値段やブランドにだまされちゃだめ」−彼女はきっと化粧品のことだけを指して言ったのではないだろう。地下鉄の窓に映る三十歳になった自分の顔をぼんやり見つめながら私は家路に着いた。 東明手相学院 「赤坂の母」と言われる占い師さんが所属しています。 東京都新宿区新宿1-10-3 坂栄第一ビル4F |
|
ご意見・ご感想・ご質問はこちらまでどうぞ このページの最終更新日は
2001/12/04
です。 |