Nuitのひとりごと
19
同潤会アパート〜「Reminiscence」
あの表参道の同潤会アパートも取り壊されるらしい。現在、安藤忠雄氏の元で再開発が進められているそうだ。
代官山のそれも取り壊されて久しい。代官山にいた頃からもう10年近く経つのだろうか。今の代官山はまるっきり風景が変わってしまった。窓辺に飾った鉢植え、字の読めない木の表札、錆びた郵便ポスト、たなびく洗濯物、壁いっぱいの配管やなつかしいダストシュート、ポンコツの車、かつて子供達が遊んでいたであろう階段脇の小さな公園...。それらはパリの3つ星ホテルの裏窓から見た風景とまさしく同じだった。お洒落なお店もあれば、妙に日本風な食堂や銭湯もあった。
混沌とした渋谷からたったひと駅でこんなにノスタルジックなところがあるなんて。子供の頃団地に住んでいた私は、ここを通るたび、かつての遠い記憶がふっと呼び覚まされるような不思議な感覚に陥った。
代官山ですっかり同潤会に魅せられてしまい、当時の彼と下町の同潤会巡りをしたこともある。下町のアパートは、表参道や代官山のようなお洒落さは全く無く、日常の生活感だけであるが、それはそれでいい。清砂通のらせん階段の手擦りの美しさと言ったら、ここに住んでいる方々がとてもうらやましく思えた。住利へ行ったときは、ちょうど取り壊しが始まったところで、足場が組められ、ビニールシートに覆われてしまっていた。建設会社のおじさんに、なんとか中へ入れていただけないかと無理なお願いをした。おじさんは意外にもこころよくOKしてくれた。中へ入り、部屋のドアを開けてみると、当然のごとくもう誰も住んでいない。がらんどうで廃墟と化していた。私達二人がきっと最後の訪問者だったろう。最後に屋上に出て風景を目に焼き付けてアパートを後にした。
関西出身の安藤氏は、学生の頃東京へ出てきて初めて表参道のアパートを見たとき、私達と同様、純粋に感動したそうだ。彼は、表参道は今の面影を必ず残すと言っている。その約束だけは必ず守って欲しい。
同潤会アパート
apartment web photo gallery
写真家兼平雄樹氏による青山(表参道)、鴬谷、江戸川の同潤会アパート等、東京の集合住宅の写真集。今はなき美しかった同潤会の風景がご覧になれます。
http://www.apartment-photo.gr.jp/
It's My Favorite
代官山同潤会アパートや東京の風景写真がご覧になれます。
http://www.asahi-net.or.jp/~BH9M-KMR/
同潤会アパート
代官山、清砂通、青山の写真がご覧になれます。映画「月とキャベツ」で有名な、清砂通の円柱屋根の写真もあります。
http://www.ucatv.ne.jp/~kajisin/haikyo-miman/doujunkai.html
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