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春の雨〜「Les parapluies de Shibuya」 東京は久しぶりに春の雨になった。お気に入りの、紺地に小さな白い水玉の傘とお出掛けだ。 しばらく傘を使ってなかったからすっかり忘れていたけれど、この傘、数ヶ月前からベルトの銀色のボタンが無いんだった。もう何年も使っている傘だから、ボタンの糸が自然と切れてしまったのだろう、気がついたときにはボタンが取れてなくなってしまっていて、仕方なく髪の毛の黒ゴムで傘が広がらないよう留めて使っていたのだった。直さなきゃとは思っていたものの、このままでもなんとか一応収まりはついているし、ついつい時間がなくてそのままになっていたのだ。 よく見ると、なんだか傘もゴムで締め付けられてとても苦しそうである。雨に濡れて泣いているようにも見えて、なんだか急にかわいそうに思えてきた。どこかにボタン屋はなかったか、と歩きながら考えた。でも渋谷の街にはなかなか見当たらない。とそのとき、時々通っているクリニックのビルの1階が確かボタン屋だったのを思い出した。 行ってみると、ボタン屋はいつのまにかアメリカから来たおしゃれなコーヒーチェーン店に変わっていて、雨なのに軒先のオープンテラスのテーブルまでお客さんでいっぱいでとても賑やかだった。ボタン屋はなくなってしまったのかと残念に思っていると、壁に手書きの貼り紙で、 「あの、すみません、傘のボタンが取れてしまって、似たようなのを探しているんですが...」 なんだか急にうれしくなってきた。明日晴れたら、傘を干してさっそくボタンをつけてあげよう。 桜はもうすっかり散ってしまったけれど、その代わり色とりどりの傘で、まるで渋谷の街中に花が咲いたようである。毎日降るのは嫌だけれど、たまには雨もいいものである。 |
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2001/12/04
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